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猫 第五話

電車というのは不思議で、家の最寄り駅に着くと勝手に目が覚めるようになる。

昔テレビで日本人は冷たいと勝手に思いこんだ外国人がその理由としてこんなことを言っていた。

「日本人は電車に乗ったら老人に席を譲りたくないから、目を閉じて寝たふりをしている。自分の駅が来たらさっと目を開けて降りていくなんて寝たふりだ。」

まったく勝手な決めつけもいい加減にしろと・・・

そんなことを思いながら家まで自転車をこいだ。

誰もいない家の鍵を開けてすぐに二階の自分の部屋へ行く。
疲れやすい体質のせいか学校から帰ったらまず寝るというのが僕の日課だ。
それにしても部屋が暑い。窓を開けると気持ちの良い風が部屋にはいってきた。でもだからと言って部屋が快適な温度になることはなかった。クーラーをつけるのはまだ早い。
僕は仕方ないなと思いながらベッドに横になった。

横になるのは最高だ。体の汗も引いて、暑さも和らいできた。
普段ならこのまま寝るところだが、今日は違った。

ベランダの扉がガタガタいっている。
風が強いのかと思ったが、窓からの風は一定して穏やかだ。うるさい。
うるさいのを我慢して寝ることに集中しようかとも思ったが、夜中にトイレに行くのがめんどうくさいからと我慢していても結局行く羽目になって初めから行っておけばよかったと思う状況が目に浮かび、僕は重たい体を持ち上げてベランダの扉の前まで行った。

扉をゆっくり開けると、目をパチクリさせた黒猫がこちらを見ていた。さっきまで扉をバンバンしていたのは私じゃないよとでも言いたげだった。
シロツメクサの首飾りにウソは似あわない。

それにしてもこの猫はどうやって僕の大学まで来て、またここまで帰ってきたんだ?歩いてにしては早いような気もする。いろいろ考えたがわからない。まぁそこは考えないことにしよう。シロツメクサの首飾り。間違いなくあの猫だ。

猫は長旅のせいかかなり汚れていた。足のうらは土まみれで、体もきれいとは言えなかった。このまま部屋に入れるわけにもいかないので僕はベランダに置いてあった洗濯用の洗面器に水をはってお風呂にした。猫は勘違いしたのか水を飲み始める。長旅でのども渇いたのだろう。しばらく飲ませておいて、一段落ついた時、僕が猫を持ち上げて洗面器の水につけた。するといきなり暴れだして、一瞬にして洗面器から出てしまった。そしてベランダの一番すみまでいってしまい、警戒したような顔でこちらを見ている。

どうやらかなり水が嫌いらしい。そういえば猫が水嫌いという噂をきいたことがあったような。今になって思いだした。猫はなかなか僕に近づいてくれない。僕が近づくと逃げてしまう。どうしたものか。僕はまず洗面器の水を全部捨ててもう水に入れないよとアピールした。その後は手を叩いて声をかけた。だんだん表情が拗ねた子供みたいな感じになってきて、ゆっくり僕の所まで歩いてきた。僕は猫を抱きかかえて足の裏をチェックした。まだ土が取れていない。雑巾を水でしぼって足を拭いた。これなら文句はないようだ。

綺麗になった猫を抱えて部屋に入った。僕はそもそも寝ようとしていたということを思い出した。僕は猫を抱いたままベッドに横になる。

オレンジ色の西日、涼しい風。僕は猫の体温を感じながら眠りに落ちた。
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